「Instagramを始めたのに、応募がまったく来ない…」
「投稿には“いいね”がつくけれど、採用にはつながらない…」
こうした悩みは、訪問看護や訪問歯科の現場でInstagramを活用しようとする中で、実際によく耳にするものです。投稿を頑張って続けていても、求職者の動きが見えないと「本当に意味があるのだろうか?」と不安に感じるのも無理はありません。
ですが、その原因の多くは「Instagramの使い方が間違っている」わけではなく、「伝える内容」と「導き方」にギャップがあることがほとんどです。採用において大切なのは、「制度紹介」や「写真映え」ではなく、求職者が“共感”し“信頼”し“自分事”として働く姿をイメージできるかどうか。つまり、Instagramを通して「感情」を動かせているかどうかが鍵になります。
訪問看護や訪問歯科といった在宅領域では、働く現場や空気感が見えづらいため、SNS上でのリアルな発信が採用に直結しやすいという特徴があります。一方で、「誰に向けて」「何を伝えたいのか」という視点が欠けていると、単なる広報にとどまり、行動にはつながりません。
本記事では、Instagram採用で「応募がゼロ」から抜け出すために、見直すべき4つの視点を提示します。表層的な発信を見直し、求職者の心を動かすブランディングへと進化させるヒントを順を追って確認していきましょう。
「応募が来ない」Instagram採用に共通する5つの原因とは?

訪問看護や訪問歯科の現場でInstagramを活用し、採用広報に取り組んでいる事業所は増えています。しかし「採用のためにInstagramを始めたのに、応募がまったくない」「採用効果が実感できない」と感じている場合、それは単なる発信不足ではなく、投稿の中身や発信内容そのものに課題がある可能性があります。ここでは、特に多くの現場で共通して見られる「成果が出ない5つの落とし穴」を見ていきます。
原因①:投稿数が少ない・更新が不定期
Instagram採用で最初に挫折しやすいポイントは「更新頻度」です。月に1〜2回の投稿では、アカウントの存在が認知されづらく、求職者の印象にも残りません。
採用は「タイミング」と「接触頻度」が左右する活動です。たとえ制度や環境が整っていても、情報が届かなければ意味がありません。
原因②:見た目重視で中身が伝わらない
デザインやテンプレートに力を入れるあまり、内容が浅くなってしまうケースも散見されます。実際の投稿では「どんな人が、どんな場面で、どんな気持ちを持ったか」という具体性が抜け落ちていることが多く、読み手の印象に残りにくいのです。
求職者が知りたいのは、「ここで働く自分が想像できるかどうか」です。視覚的な美しさだけでは応募にはつながりません。
原因③:「誰に届けたいか」が曖昧
ターゲット像がぼやけていると、投稿の切り口やトーンも一貫性を欠いてしまいます。
たとえば「子育て中の30代看護師に共感してほしい」のか、「未経験からチャレンジしたい20代に届けたい」のかによって、紹介すべき内容や言葉選びはまったく異なります。対象が明確でなければ、共感も生まれません。
原因④:求職者の目線になっていない
投稿を作る際、「伝えたいこと」を優先してしまうと、自己満足型の広報になりがちです。
「うちの魅力を知ってほしい」「制度が充実していることを伝えたい」といった企業目線だけでは、読者の心に響きません。大切なのは、「それが相手にどう届くか」「どう感じられるか」を前提に考える視点です。
原因⑤:ストーリー性やリアルさがない
淡々と制度や業務を紹介するだけでは、求職者は「自分ごと」として働く姿を想像できません。
たとえば、「直行直帰が可能」という制度紹介ではなく、「子どもの発熱で早退しても直帰できた」というリアルなエピソードにすることで、共感と信頼が生まれます。ストーリー性の欠如は、感情の動きを止めてしまいます。
Instagramは「発信ツール」であると同時に、「感情のメディア」です。情報を伝えること以上に、「どう感じてもらうか」「何をイメージさせられるか」が重要です。
もし今、成果が出ていないと感じているなら、上記の5つの視点から投稿内容を見直すことで、改善の糸口が見えてくるはずです。
伝わっていない?訪問看護・訪問歯科ならではの魅力を再点検

「訪問看護ってハードそう」
「訪問歯科って専門的すぎて難しそう」
──そんな印象を持たれやすい在宅医療の現場ですが、実際に働くスタッフの多くは、やりがいや自由度の高さ、人間関係の良さを魅力に感じています。ところが、Instagramでの採用広報ではその「本当の魅力」が十分に伝わっていないケースが多く見受けられます。
求職者は、制度やスペックではなく、「この職場でどんな働き方ができるか」「どんな自分でいられるか」「どのようなキャリアを築けるか」といった感覚的な安心感を求めています。では、なぜその魅力が伝わらないのでしょうか。ここでは、訪問看護・訪問歯科の現場ならではの良さを「伝え損ねている3つのポイント」から見直します。
1.価値観の発信が「自己紹介」にとどまっている
よくあるスタッフ紹介の投稿では、「名前」「趣味」「勤続年数」などの基本情報を並べただけの内容が目立ちます。もちろん初対面の印象としては必要ですが、それだけでは共感は生まれません。求職者が知りたいのは、その人が「なぜこの仕事を選んだのか」「どんな気持ちで働いているのか」といった背景や価値観です。
たとえば「前職では子育てとの両立が難しかったが、訪問看護に転職して子どもの行事に参加できるようになった」など、人生と仕事のつながりが伝わる内容があると、それだけで印象が大きく変わります。
2.エピソードが「制度紹介」に終始している
「直行直帰OK」「有給取得率90%以上」など、制度を紹介する投稿はよく見られますが、それだけでは読み手の心に残りません。大切なのは、その制度が「誰にとって」「どんなふうに」役立っているかを、具体的な場面で描くことです。
たとえば「子どもが発熱した日、連絡一本で早退・直帰できた」といった実体験の投稿は、同じ立場にある求職者の共感を得やすく、制度の価値がリアルに伝わります。制度の説明ではなく、「その制度が支えているスタッフのリアルな状況」を伝えることがポイントです。
3.日常の安心感ややりがいが言語化されていない
訪問の現場では、「利用者さんとの何気ない会話に救われた」「チームで助け合って動ける」といった、働き手だからこそ感じる日常の充実感があります。こうした小さなやりがいや喜びを言語化して発信できていないことも、Instagramで魅力が伝わらない原因の一つです。
「職場の雰囲気がいい」「人間関係が良好」などの表現ではなく、たとえば「忙しい朝に“今日もよろしくお願いします!”と声をかけ合うことで、自然と気持ちが前向きになる」といった具体的な描写を入れることで、言葉に信ぴょう性が生まれます。
訪問看護・訪問歯科には、他の医療職にはない魅力が確かに存在しています。それを伝えるには、「制度」や「環境」の紹介にとどまらず、「人の想い」や「日常のリアル」を丁寧にすくい上げる視点が欠かせません。
求職者にとっての「働きたい理由」を、現場から言葉として届けられているかを、いま一度見直してみましょう。
SNS投稿で「共感」される採用広報のポイント

訪問看護・訪問歯科の職場で働くスタッフの姿をInstagramで紹介することは、採用広報において非常に有効です。特に“人柄”や“価値観”が伝わる投稿は、求職者にとって大きな安心材料になります。しかしながら、単にスタッフを紹介するだけでは、「共感」にはつながりません。
SNSで共感を呼ぶ人材発信には、「内容の深さ」と「ストーリー性」の工夫が必要です。ここでは、スタッフ紹介の質を高め、読み手の心を動かすための3つのポイントを解説します。
1.写真+プロフィールだけでは伝わらない
「スタッフ紹介」といえば、顔写真と簡単なプロフィール文を投稿する形式が一般的です。しかし、これだけでは読み手の記憶には残りません。求職者が知りたいのは、そのスタッフの「日常」「価値観」「選択の背景」であり、単なる属性情報ではありません。
たとえば、「看護師歴10年」よりも、「3人の子育てをしながら、朝の訪問を終えて保育園にお迎えに行く毎日」といった暮らしぶりが伝わる内容の方が、共感を得られやすいのです。
2.ストーリーのある発信が「自分ごと化」を促す
Instagramは本来、「ビジュアルと感情のメディア」です。スタッフ紹介の投稿も、「なぜその職場を選んだのか」「どんな失敗を乗り越えてきたのか」といったストーリーとして描くことで、読み手が感情移入しやすくなります。
特に、以下のようなテーマはストーリー性を持たせやすく、発信の素材として有効です。
・初めて訪問に出た日のこと
・利用者さんとの印象的なエピソード
・ワークライフバランスで実感した変化
・かつての自分と今の自分のギャップ
・「この職場でよかった」と思った瞬間
「1日密着」や「1週間のルーティン」といった切り口も、仕事の流れや働き方が自然に伝わるため、閲覧者の想像力を喚起する効果があります。
3.「どんな人が合うか」を伝えることでミスマッチを防ぐ
採用広報では、「誰に来てほしいか」だけでなく、「どんな人には合わないか」を発信することも重要です。これは、採用後のミスマッチを防ぐだけでなく、「自分にもできそう」と感じる求職者の心理的ハードルを下げる効果もあります。
たとえば、「指示を待つより、自分で考えて動きたい人に合う環境です」といったメッセージは、その職場のスタンスを明確に示すと同時に、価値観の合う人の関心を引きます。
さらに、「この職場には、こういう人もいるよ」という多様な人材像を発信することで、「あ、自分に近いかも」と感じてもらえる確率が高まります。SNSは“自己投影”の場でもあるため、自分と重ねやすい人物像の提示が非常に効果的です。
スタッフ紹介は、単なる情報提供ではなく、「職場の価値観を伝えるストーリーメディア」として活用することが求められます。日々の仕事の中にある感情の動きや選択の背景を丁寧に言葉にしていくことで、求職者の心に届く投稿へと変えていくことができるでしょう。
「いいね」は増えても応募ゼロ?動線・導き方を変える

Instagramの投稿には“いいね”や保存がついていても、「応募」や「問い合わせ」といった具体的なアクションに至らない
──このような課題は、多くの訪問看護・訪問歯科の現場で見られます。表面上の反応がある分、「何が悪いのか分からない」と感じやすいのもこの段階の特徴です。
実は、反応があるにも関わらず応募に至らない場合、その原因は“投稿の内容”ではなく、“導き方”にあります。つまり、求職者が「行動するための道筋」が見えていないのです。ここでは、応募につなげるための導線の見直しポイントを3つに分けて解説します。
1.投稿の終わり方が「行動」を促していない
投稿の最後に、「詳細は採用ページへ」「気になる方はDMください」などの一言が添えられていない場合、どれだけ良い内容でも“見て終わり”になります。人は、自分で次の行動を考えるよりも、「何をすればいいか」が明示されているほうが動きやすいものです。
特にInstagramでは、投稿の最後の一文やストーリーズのリンクが“次の行動”を決める重要なポイントとなります。「LINEで気軽に相談できます」「見学だけでもOKです」といった具体的かつ心理的ハードルの低い誘導が効果的です。
2.アカウント全体に「目的別の動線」がない
プロフィール画面にアクセスしたとき、求職者が「次に何を見ればいいか」が分かりにくいと、行動にはつながりません。採用専用のハイライトや、ストーリーズでの定期的な質問回答、LINE公式アカウントへの誘導ボタンなど、複数の“接点”を設けることで、情報の受け手が自分のペースで動けるようになります。
以下のような構成が有効です:
3.“いいね”より“信頼”を生む導線を意識する
求職者が「この職場の話を聞いてみよう」と思う背景には、「共感」に加えて「信頼」が必要です。そのためには、単発の投稿で印象づけるよりも、連続性のある情報発信が大切になります。
たとえば、「スタッフ紹介→その人の1日密着→働くうえでの悩み→制度活用の様子」といった一連のストーリーを複数回にわたって発信することで、「実際の働き方が見える」「誠実に発信している」という印象が蓄積されていきます。
また、コメントへの丁寧な返信や、質問に対する真摯な回答も、求職者にとっては信頼を測る材料となります。SNS上での態度が、採用活動の成功を左右する時代になっていることを意識する必要があります。
採用につながるInstagram運用では、投稿そのもの以上に「どう誘導するか」が問われます。伝えて終わりではなく、『動いてもらえるか』までを見据えた投稿設計と導線設計を整えることが、応募ゼロからの脱却につながる第一歩となるでしょう。
明日から見直せる!Instagram採用の4つのアクション

Instagram採用で成果が出ないと感じたとき、多くの事業所では「とりあえず投稿を増やす」「デザインを改善する」といった“表層の対応”に走りがちです。しかし本質的な改善には、投稿そのものだけでなく、「何を伝えたいのか」「誰に向けて発信するのか」という視点から見直すことが欠かせません。
ここでは、訪問看護・訪問歯科の現場が“明日からでも取り組める”具体的なアクションを4つ提示します。採用につながるInstagram広報へ一歩踏み出すための手がかりにしてください。
アクション①:投稿テーマの棚卸しをする
まずは過去の投稿内容を振り返り、「どのテーマに偏っているか」「スタッフの想いや日常が十分に出ているか」を確認しましょう。「制度紹介」や「会社紹介」に偏っている場合は、共感性の高いテーマ(例:スタッフの1日、育児との両立、働くうえでの苦労と乗り越え方)を意識的に増やす必要があります。
投稿テーマは、「共感」「想い」「職場の空気感」の3軸を基準にバランスを取ると、読み手の感情に届きやすくなります。
アクション②:ストーリー性を意識した構成に変える
1投稿あたりの構成を「情報の羅列」から「ストーリー性を持った流れ」に変えることで、共感度が大きく変わります。以下のような構成が基本形です。
1枚目:問いかけや驚きで興味を引く
2枚目:具体的な状況・エピソードを紹介
3枚目:気持ちや背景を深掘りする
など、読み手が『自分ごと化』しやすいストーリーラインを意識することで、投稿の反応が変化してきます。
アクション③:ペルソナを明確に再定義する
「誰に向けて発信しているのか」を言語化できていますか?
Instagram採用では、見せたい内容以上に、『誰に届いてほしいか』の解像度が重要です。たとえば以下のように、具体的なペルソナを定め直しましょう。
・30代前半、時短勤務希望の看護師/歯科衛生士
・訪問未経験でチャレンジ意欲あり
・子育てと仕事の両立に不安を抱えている
このように、想定する人物像が明確になると、投稿内容・言葉遣い・発信タイミングまでも自ずと変わっていきます。
アクション④:LINEや相談窓口への導線を設ける
Instagramのプロフィールや投稿に、「LINE相談」「オンライン見学」「カジュアル面談」などの選択肢を設けることで、求職者が“行動を起こしやすく”なります。いきなり応募というハードルではなく、段階的な接点づくりを意識しましょう。
また、「見るだけの人」が大多数であるSNSだからこそ、相談窓口の存在は応募率の向上に直結します。「少し話してみたい」「気になっているだけ」という層に対応できる導線を整えることが重要です。
Instagram採用は、正解が1つではありません。しかし、「誰に、何を、どんな流れで届けるか」を言語化し、それに沿って試行錯誤していくことで、必ず反応は変わります。採用は長期戦です。小さな改善と振り返りを繰り返すことこそが、“応募ゼロ”から脱却する最短ルートといえるでしょう。

