訪問看護ステーションの経営者にとって、SNS採用はもはや「やるかどうか」ではなく「どう成果につなげるか」が問われる時代になっています。InstagramやX(旧Twitter)を中心に、SNSは求職者が情報収集の第一歩として触れる場となりました。しかし現実には「毎日投稿しているのに応募が来ない」「フォロワーは増えているが採用には結びつかない」と悩む経営者も少なくありません。
その背景には、SNSを通じて応募につなげるための視点が欠けているケースが多くあります。例えば、発信の対象が曖昧で「誰に伝えたいのか」が見えない、あるいは経営者自身の想いやステーションの文化が伝わらず、フォロワーが「働いてみたい」と感じられないなどです。さらに、導線が不足して「応募の仕方がわからない」と求職者を取りこぼしている場合もあります。
SNS採用は、求人広告のようにすぐに成果が出るものではありません。半年から1年をかけて「信頼を積み重ねる場」として運用していくことが前提です。短期的に効果を求めてやめてしまうと、せっかく育ちかけた接点を失ってしまいます。
本記事では「訪問看護のSNS採用で避けるべき5つの落とし穴」を取り上げます。経営者の視点から、それぞれの落とし穴がなぜ応募を遠ざけるのか、どう改善すれば成果につながるのかを順番に見ていきましょう。また本記事ではSNSの中でもInstagramに焦点を当てて解説していきます。次の章ではまず「求職者目線を欠いたSNS運用」という最初の落とし穴について掘り下げます。
落とし穴①:求職者目線を欠いたSNS運用

求職者にとって「自分ごと化」できるSNS発信とは
求職者がSNSで知りたいのは、制度や数字の羅列ではありません。「ここで働く自分」を想像できる情報こそが最も重要です。例えば、「うちの訪問看護ステーションは子育てと両立しやすい環境です」と伝えるよりも、「子どもの急な発熱で保育園から呼び出しがあった際、直行直帰できたスタッフのエピソード」を紹介する方が圧倒的にリアルに響きます。
こうした「自分にもあり得る状況」を描写することで、読み手は自分事として内容を捉えられます。逆に、理念や制度を一方的に語るだけでは、「それは本当なのか」「実際の現場はどうなのか」と疑念を抱かせてしまい、応募行動にはつながりにくくなります。
また、Instagramなどのビジュアル重視のSNSでは、テキストだけでなく写真や動画を活用することも効果的です。訪問先に向かうスタッフの表情や、ステーション内で笑顔を交わす場面を切り取ると、「この人たちと働きたい」という感覚を生み出せます。
「採用アカウント」か「利用者向け」かが曖昧なSNS投稿
訪問看護ステーションのSNSには、大きく分けて二つの目的があります。一つは利用者や地域住民に向けた広報、もう一つは人材採用です。両者を明確に区別しないまま発信してしまうと、採用を目的とした求職者にはメッセージが届きません。
例えば、リハビリ内容の紹介やご利用者への感謝を綴る投稿は地域への信頼構築には有効ですが、求職者にとっては「働く環境がどうなのか」「経営者やスタッフがどんな考え方をしているのか」といった情報が不足します。結果として「良いことをしている会社だとは思うが、自分が働くイメージはわかない」と感じられてしまいます。
SNS採用を本気で進めるのであれば、アカウントの目的をはっきりと「採用」に設定し、求職者が求める情報を中心に据えることが不可欠です。もちろん地域広報の役割も重要ですが、採用を狙うなら両者を混同せず、それぞれで戦略を分ける判断が求められます。また採用目的で運用していると連携先のケアマネさんが見てくれているなど営業にも役立つ場合があります。
経営者自身がSNSで「誰に何を伝えたいか」を定義する必要性
求職者目線を持つためには、まず経営者が「理想の人材像」を明確に描く必要があります。例えば「小児や精神科領域に強いスタッフを求めている」「利用者や家族との対話を大切にする人に来てほしい」といった具体的な方向性を設定しなければ、発信もぼやけてしまいます。
求人広告のように条件を並べるのではなく、SNSでは「なぜその人を求めているのか」という背景まで含めて語ることが大切です。経営者の視点で、「この訪問看護ステーションはどんな人に合うのか」「逆に合わない人はどんなタイプか」を率直に伝えることが、求職者にとって安心感や納得感につながります。
さらに、その情報を投稿の軸として一貫させることで、SNS全体の発信に統一感が生まれます。求職者は複数の投稿を遡って見ますから、「何を大切にしているステーションか」が伝われば信頼度が高まります。
Next Action:明日からできる採用SNSでの改善点
・自社のアカウントが「誰に向けたものか」を再点検する。
・投稿前に「この内容を見た求職者は、自分の未来を想像できるか」を確認する。
・エピソードや体験談を優先して取り上げ、数字や制度紹介だけに偏らないようにする。
・採用目的か広報目的かを分けて考え、アカウントで区別する。
求職者目線を持つことは、SNS採用のすべての土台です。ここが不十分なままでは、どれだけ投稿を重ねても成果は得られません。次の章では、なぜ「経営者やスタッフの想いを見せないSNS発信」が応募につながらないのかを掘り下げていきます。
落とし穴②:経営者やスタッフの想いが見えない訪問看護のSNS発信

SNSは制度より「人柄」を伝える場―Instagramで何を語るか
訪問看護のSNS採用では、条件や制度の一覧よりも「人柄」が応募の決め手になります。給与や休日は求人票で把握できますが、「どんな価値観の人たちと働くのか」「悩んだ時にどう支え合うのか」はInstagramの投稿からしか伝わりません。
たとえば、経営者が自分の言葉で「在宅療養を支えるうえで大切にしている判断基準」「ご家族と対話するときの姿勢」を短い動画で語るだけで、読み手は温度を感じ取ります。文章だけに寄るより、写真・リール・字幕つきのショート動画を組み合わせ、場面と言葉を同時に届けることが有効です。投稿の主語は可能な限り「誰が」に寄せます。「当ステーションは教育体制が充実」ではなく「〇年目の看護師△△が、先輩にこう助けられた」の方が記憶に残ります。
さらに、Instagramの1投稿内で「結論→状況→気づき→一歩誘導」の流れを通すと、読み手は迷いません。結論で主張を置き、状況で現場を描き、気づきで価値観を示し、最後にLINEやDMでの接点へ軽く背中を押す。SNSは情報の倉庫ではなく、人柄が伝わる対話の入り口であると押さえましょう。
訪問看護ステーションのビジョン不在が招く不信―経営者の言葉で未来を示す
経営者のビジョンがSNSに見えないと、求職者は「ここで働いた先」を思い描けません。訪問看護は地域の暮らしに密着し、判断力と自律性が求められる仕事です。だからこそ、どんな地域課題を捉え、どの領域に力を入れ、5年後にどんな姿を目指すのかを、経営者自身の言葉で提示する意義が大きくなります。
例えば「小児領域の受け皿を広げたい」「終末期ケアで家族支援を強化したい」「多職種連携を日中の定例で当たり前にする」など、具体的な方向を示すと、価値観が合う人は自然と集まりやすくなります。ここで大事なのは、美辞麗句ではなく、決断の判断軸を明かすことです。「負担が重なるケースの受け入れ基準」「夜間の判断で最優先すること」「安全と自立支援のバランスの取り方」など、経営の目線を言語化してください。
投稿の形式は定期シリーズ化が有効です。月1回、代表メッセージを固定フォーマットで出す。Instagramのハイライトに「代表の想い」を独立させ、はじめて来た人でも3分で世界観を把握できるようにする。ビジョンは採用コピーではなく、日々の判断をつなぐ意思表示です。
スタッフの声を主役に―SNS採用で信頼を積み上げる進め方
「経営者が語る理想」と「スタッフが語る日常」が両輪になると、SNS採用の信頼は一気に高まります。訪問看護ステーションでは、ケースの幅・家庭の事情・他職種との連携など、経験の手触りがものを言います。だからこそ、スタッフの声は匿名でぼかさず、顔や役割が分かる形で掲載し、本人の語彙を尊重して編集は最小限にとどめます。
テーマは「入職前の不安と実際」「判断に迷った場面と乗り越え方」「在宅ならではの喜び」「合う人・合わない人のリアル」など、求職者が知りたい順に沿わせます。1本の投稿は“短い物語”にします。きっかけ→場面→気づき→いまの自分の順番で、70〜100字の文を3〜4枚に分けると読みやすいです。
さらに、役職・入職年の表記を統一し、Instagramのハイライトに「新人の学び」「育児と両立」「キャリアの広がり」を分類して保存。断片で終わらせず、継続的にたどれる形にすることが、SNSでの信頼を作ります。
Next Action:経営者が明日からできるSNSでの改善点
まず、トップ自ら週1本の「代表メッセージ」を決め、収録の曜日と時間を固定します。スマホの標準カメラで十分です。60〜90秒で「今月の判断軸」「現場への感謝」「来月の重点」の三点を語り、字幕を自動生成して微調整するだけで、Instagramのリールに出せます。
次に、スタッフ発信の型を用意します。①入職の決め手、②成長を実感した瞬間、③悩みを相談して軽くなった話、④訪問ならではの喜び、の4テーマから月各1本を担当制で回します。
第三に、投稿の最後は毎回「軽い接点」を提示します。「DMで見学希望と送ってください」「プロフィールのLINEから相談だけでも可」と明示し、応募のハードルを下げます。
第四に、ハイライトの並び順を見直し、「はじめての方へ→代表の想い→スタッフの声→働き方Q&A→見学・応募」の順に固定。初見の人が迷わない導き方にします。さらに、プロフィールの最初の150字に経営者の一文を入れ、SNS採用の入口で価値観を伝えます。
最後に、月末に「反応の高い投稿ベスト3」を洗い出し、テーマ・主語・結末の違いを比べて、翌月の進め方に反映します。小さく決めて続けることが、訪問看護のSNS採用を確かな接点に変えていきます。次章では、この流れを支えるために欠かせない「投稿内容の一貫性」について掘り下げます。
落とし穴③:SNS投稿の内容が断片的で一貫性がない

断片的なSNS発信は「信頼」を削ぐ
訪問看護ステーションのSNS運用において、投稿が断片的になると求職者からの信頼を失いやすくなります。例えば、1回目はイベントの報告、次は求人告知、その後はスタッフ紹介と、場当たり的に内容を決めているケースです。投稿自体は有益であっても、流れがなく統一感も感じられないため、アカウント全体を見たときに「このステーションは何を大切にしているのか」が伝わりません。
求職者は1本だけではなく、複数の投稿を続けてチェックするものです。だからこそ、バラバラな発信は「方向性が定まっていない」「長く働くイメージが湧かない」と感じさせてしまいます。信頼は継続的な積み重ねから生まれるものです。断片的な投稿ではなく、一貫したメッセージの積み重ねこそが「ここで働きたい」という気持ちを芽生えさせます。
また、発信の目的を見失いがちな背景には「誰に向けた情報なのか」が曖昧なケースが多いことも挙げられます。経営者自身が「このアカウントは採用目的」と明確に決め、全ての投稿をその軸に沿わせることが必要です。
SNS発信では理念やステーションの文化に沿った一貫性を持たせる
一貫性を生み出すために最も大切なのは、訪問看護ステーションの理念や文化を発信の軸に据えることです。理念と文化は単なる標語ではなく、日々の働き方や判断に表れる具体的な姿勢です。例えば「利用者と家族の安心を第一に」という理念があるなら、実際の投稿は「夜間の緊急訪問で家族の不安が和らいだ」「子育て中のスタッフが安心して働けるサポートを受けられた」といった実例に落とし込む必要があります。
文化の一貫性を示す方法として、「合う人・合わない人」を率直に伝える発信も効果的です。「新しい工夫を自ら考えて試すのが好きな人に向いている」「一方で決まりきった業務が好きな人には合わないかもしれない」といった発信は、求職者にとって現場のリアルを理解する助けになります。このように線引きを示すことは、共感を呼ぶと同時にミスマッチを減らす役割も果たします。
理念や文化を繰り返し投稿の中に織り込み、経営者やスタッフがそれぞれの視点で語ることで、アカウント全体に統一感が宿ります。こうした一貫性が「ここで働くとどんな日常が待っているのか」をイメージさせ、信頼感を醸成します。
ストーリー性を持たせた継続発信
SNSは単発の情報を流す場ではなく、時間の流れに沿って「物語」を積み重ねる場です。だからこそ、投稿ごとに完結させつつも、全体で一本のストーリーが描けるように設計する必要があります。例えば、新人スタッフを紹介したなら、数週間後に「初めての訪問で学んだこと」、さらに「半年後の成長エピソード」と続ければ、求職者はその人の歩みを追体験できます。
同様に、経営者の想いも「立ち上げの経緯」「現在の挑戦」「今後5年の展望」と段階的に発信すれば、読み手は時間をかけて価値観を理解できます。単発ではなく連続性を持たせることが、感情を動かす力を増します。
運用の工夫としては、月ごとにテーマを設定する方法があります。例えば「右列はキャリア」「真ん中列は育児と両立」「左列は地域とのつながり」と決めると、投稿が散らばらず自然と統一感を持たせられます。また、ハイライトにテーマごとの投稿をまとめれば、新規のフォロワーも短時間で全体像を把握できます。
ストーリー性を持たせることは、単なる広報から一歩進み、「ここで自分も物語の一部になりたい」と思わせる採用力を生みます。
Next Action:一貫性を作る採用SNSでの改善点
・経営者自身が「このアカウントで伝えるメッセージの3本柱」を定義し、すべての投稿がその柱に接続しているかを確認する。
・投稿カレンダーを作成し、月ごとにテーマを決めて発信を継続する。
・投稿内容が理念や文化に結びついているかをチェックし、場当たり的な更新を避ける。
・新人スタッフや経営者メッセージなど、主語を固定したストーリーを連続的に展開する。
・ハイライトを「章立て」として活用し、過去の投稿を体系的に見られる状態に整理する。
こうした具体的な行動を積み重ねることで、断片的な発信は「物語を持った一貫性あるSNS運用」に変わります。求職者にとって「ここで働けばどんな日常や成長が待っているのか」が自然に伝わり、応募への第一歩につながります。次の章では、この信頼を実際の応募行動に変えるために不可欠な「応募導線の不足」という落とし穴を取り上げます。
落とし穴④:SNSからの応募導線が不十分

SNSを見ても「どう動けばいいか」がわからない
訪問看護ステーションの経営者がSNS採用で陥りやすい典型的な課題が「応募の導線不足」です。Instagramでの投稿が丁寧でも、最後に「応募や相談はここから」という明確な道筋がなければ、求職者は行動に移せません。求人広告のように「応募はこちら」と大きく記載できないSNSでは、投稿の流れの中で自然に応募や相談に誘導する工夫が不可欠です。
よくある失敗は「求人情報はWebサイトに掲載しているから、見たい人は探すだろう」という姿勢です。求職者の多くは隙間時間にスマホでSNSを見ています。複数のリンクを探す手間があるだけで離脱しやすくなり、結果として応募数は伸びません。特に訪問看護に関心を持つ人は仕事と家庭を両立している層も多く、短い時間でアクセスできるかどうかが決定的に重要です。SNS上で「次の一歩」が曖昧な状態は、せっかく関心を持ってもらっても機会損失を生む大きな落とし穴となります。
LINEやDMを活用した「軽い接点」の構築
応募への導線を考えるとき、いきなりエントリーフォームに誘導するよりも「軽い接点」をつくる方が効果的です。InstagramのDMやLINE公式アカウントは、求職者にとって心理的ハードルが低い入り口になります。たとえば投稿の最後に「気になる方はDMで『見学希望』と送ってください」「プロフィールのLINEから相談だけでも可能です」と書くだけで、応募までの距離が大きく縮まります。
この「軽い接点」があると、求職者はまず気軽にコミュニケーションを取り、その後に正式応募へと進む流れを作れます。訪問看護ステーションにとっても、直接やり取りを通じて相手の不安や関心を確認できるため、応募前の段階で信頼関係を築ける利点があります。DMのやり取りを負担に感じる経営者もいますが、短い定型メッセージや返信ルールを整えておけば運用は継続可能です。むしろ、この一手間が応募につながるかどうかの分岐点になります。

プロフィールとハイライトに「応募の道」を常設する
導線を整えるうえで欠かせないのがプロフィール欄とハイライトの設計です。プロフィールの150字には必ず「応募・見学はこちら」という文言とリンクを入れます。Instagramはプロフィールリンクが複数設定できますので、「公式LINE」「採用サイト」「カジュアル面談フォーム」など複数の窓口を提示できます。
さらに、ハイライトに「応募・見学の流れ」をまとめておくことで、はじめて訪れた人でも数タップで行動できます。例えば「1:LINEから相談→2:見学の日程調整→3:面談→4:応募」といったステップをストーリー形式で見せると、求職者は「どう動けばいいのか」が瞬時に理解できます。SNS採用においては「問い合わせをしたのに返信が遅かった」「窓口が分からなかった」というだけで離脱するケースが多いため、プロフィールとハイライトでの常設導線は必須です。
Next Action:SNSの応募導線を強化するための改善点
・投稿の最後に「DMやLINEで相談可」と明記し、軽い接点を毎回提示する。
・プロフィール欄に「見学・相談はこちら」と記載し、外部リンクで複数の窓口を整理する。
・ハイライトに「応募・見学の流れ」をストーリー形式で固定し、初見の人が迷わないようにする。
・DM返信は定型文を準備し、迅速に返すルールを決める。
・月に一度「どの導線から応募が来たか」を確認し、効果的な窓口に注力する。
応募導線を整えることは、単なる技術的な工夫ではなく「関心を持った人を確実に迎え入れる姿勢」を示す行為です。SNSで興味を持った瞬間に迷わず次の一歩を踏み出せる仕組みがあるかどうかが、応募数を左右します。次の章では、SNS採用を成功させるうえで最後の大きな落とし穴である「短期成果を求めて諦めてしまうリスク」について掘り下げます。
SNSを継続できず「成果が出ない」と早々に諦める

SNS採用は短距離走ではなく長距離走
訪問看護ステーションの経営者がSNS採用を始めて直面するのが「思ったより成果が出ない」という現実です。1か月や2か月で応募が増えると期待したのに、反応が少ないまま更新を続けるのが苦痛になり、途中でやめてしまうケースは少なくありません。しかしSNS採用は短距離走ではなく長距離走です。半年から1年のスパンで関係性を育てることを前提に取り組むべき活動です。
求職者はSNSを見てすぐに応募を決断するわけではありません。「どんな人が働いているのか」「雰囲気は自分に合うか」を時間をかけて観察します。投稿の一つひとつは小さな接点であり、信頼が積み重なることで「相談してみよう」という気持ちが芽生えます。だからこそ、短期間で成果を求めて運用をやめてしまうことは、自らチャンスを閉ざしてしまう行為と言えます。
成果が見えにくい時期にこそ必要な「育成視点」
SNS採用には「育成視点」が欠かせません。育成視点とは、アカウント自体を「信頼を育てる場」と捉える考え方です。例えばフォロワーが少ない時期でも、投稿を見続けている人は必ず存在します。彼らは応募をためらっているのではなく、まだタイミングが来ていないだけです。その間に信頼が育まれていれば、いざ転職を考えた時に「このステーションに相談してみよう」と行動につながります。
農業に例えるなら、SNS採用は「種まきと水やり」の段階が長いのです。芽が出る前に畑を捨ててしまえば、成果は永遠に得られません。短期で反応が薄くても、投稿を続けること自体が信頼の証になります。経営者自身が「応募ゼロだから無駄」と判断するのではなく「まだ信頼を育てている途中」と捉える視点が不可欠です。
SNS継続を支える仕組みづくり
長期的な運用を継続するためには、経営者一人に負担を集中させない仕組みづくりが重要です。例えば、スタッフに月1回の投稿当番を割り振る、定型フォーマットを準備して撮影・投稿を分担するなどの工夫があります。Instagramは自由に投稿できますが、自由に投稿すると逆に迷ってしまいます。テンプレート化しておけば毎回ゼロから考える必要がなくなります。
また、月末に「反応の多かった投稿ベスト3」を振り返る習慣を持つと、成果が見えやすくなります。いいねや保存数だけでなく「プロフィールへのアクセス数」「リンクのクリック数」を確認すれば、少しずつ成果が積み上がっていることがわかります。この小さな成果をスタッフ全員で共有すると、「やっている意味がある」と実感でき、継続のモチベーションになります。
Next Action:SNSを諦めずに続けるための改善策
・SNS採用は「半年〜1年で芽が出る」と最初にチーム全員で共通認識を持つ。
・投稿をテンプレート化し、負担を減らして継続しやすい体制を作る。
・月ごとに成果を振り返り、小さな反応も可視化してチームで喜ぶ。
・成果が出ない時期も「信頼を育てている最中」と位置づけ、諦めない。
・経営者自身が定期的に「なぜ続けるのか」をスタッフに共有し、意味を再確認する。
SNS採用は即効性を求めると必ず失敗します。長期的に信頼を積み上げる意識を持ち、育成の視点で運用を続けることが応募につながる唯一の道です。本記事では5つの落とし穴を取り上げてきました。最後に全体を総括し、訪問看護ステーションの経営者がSNS採用にどう向き合うべきかを改めて整理します。
訪問看護ステーションにおけるSNS採用は、単なる情報発信ではなく「信頼を積み重ね、応募につなげる長期的な活動」です。本記事で示した5つの落とし穴――求職者目線の欠如、経営者やスタッフの想い不足、断片的な投稿、一貫性のない導線、そして短期的な諦め――はいずれも成果を妨げる共通要因でした。逆に言えば、これらを一つずつ改善することで、SNSは「働く姿を具体的に想像できる場」となり、応募につながります。大切なのは即効性ではなく、半年から1年をかけて信頼を育て続ける視点です。経営者自らの言葉と現場のリアルを発信し、応募への道筋を整え、継続することで、SNSは確実に採用の力となります。
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